「日本人はなぜ英語が話せないのか」――多くの英語教育に携わる方々と同じように私も長年この疑問を抱えて仕事をしてきました。
ようやく信じるに足る解答に辿り着き、本書でお伝えする次第です。
結論「私たちが学習してきたものは英語そのものではないからです。」
第一に英文法、第二に表現学習において、私たちの英語学習にはポッカリ大きく欠けた部分があり、習ってもいないことなどできはしない、
というのである。そんなわけでこれは、「NHK英会話」の名物講師が提唱する「新しい英文法」と表現の学習方法を伝授して、必ず話せる
ようにしてあげようという本である。
We met him at a bar in Roppongi.
六本木の バーで 彼に 会ったよ。
と、主語を除けば、英語の語順は日本語のそれと鏡に映したような対称(鏡像関係)を作る。語順についての深い理解と入念な習熟がなければ、
英語は話せないのだ。しかし、私たちが学んだ学校文法はそこにはほとんど興味を示さなかった。なぜ、学校文法は語順にこだわらないのか。
それは「話す」が目的ではないからだ。(ちなみに、私の高校の名物英語教師は、「in 1221→1221年に」と、英語と日本語の鏡像関係を
黒板で証明してみせてくれた。恩師に感謝である。閑話休題。)
「that構文」や「関係代名詞」など、語順の逆転をものともせずに、訳し方を指南してくれた。この文法の目的、私たちがこの文法を通じて
学んだもの。
「それは英語ではありません。」(それわ英語ぢゃないだらふ。)
というわけで、無理なく英語語順を克服できる「新しい文法」で語順の原則を正しく掴まえれば、この上なくシンプルな文法が実現することが
示されていく。
・英語は配置のことば(John gave Mary a present.)
・動詞の位置にあればそれは動詞(She's friended me.)
・主語の位置にあればそれは主語(Making friends is not easy.)
・説明は後ろに置く(That's the man who stole my bag!)
・指定は前に置く(Bring me a red tie.)などなど。
「文中の場所が機能を与える」という考え方を中心に据えれば、学習者は「左から右へ」ネイティブと同じ語順感覚で文を作り、理解できる
ようになるというのだ。
私たちが英語を話せないもう一つの原因である、表現学習における訳読偏重の悪しきクセ是正のためには、日本語を「イメージ」へとシフト
しなければならない。この本の後半を占める、「単語」のもつ日本語には訳せないさまざまな意味を派生させるクリアな「像=イメージ」
という考え方と、「英作文」をしている時間のない中で自然で流暢な英会話をするための、可能な限り多くの自然な暗記用例文については、
どうぞご自分で確かめていただきたい。 まず学校文法が変わらねばなりません。訳読法を教えるのではなく、英語そのものを描き、日本語とのちがいを抽出し、話せるようになる
ための具体的なステップをレイアウトしなければなりません。それができなければ、同じ状況が今後も続きます。