徒然読書日記200605
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2006/5/29
「ウルトラ・ダラー」 手嶋龍一 新潮社
「麻薬」と並んで北朝鮮の最大の輸出産業となっている「偽ドル紙幣製造」。
昭和40年代に続発した「拉致」の裏に秘められていた衝撃の真実。
あの9.11の「眠たい眼」で名を売った、元NHKワシントン支局長が描いた「国際謀略劇」の「内幕」とくれば、 日本はもとより、米国、欧州、東アジアに広がる「情報ソース」を駆使していることも容易に想像され、 「どこまでがフィクション?」という思いを抱きながら、意外に手馴れた語り口のままに、一気に読み進んだのだが・・・
随所に出てくる「グルメ」や「ファッション」のアイテムが、私のような「凡夫」にはまったく意味不明で、さすが「天下のNHK」の「北米支局長」てなもので、 このところの「流用騒ぎ」を考えると、これも「経費」で落とした?ということは、出所は我々の「聴取料」?ということばかりが気になって・・・
つまるところ、ここだけは間違いなく「ノンフィクション」と興醒めしてしまった次第なのでありました。
(まあ、自動引き落としを停止してしまったから、もうどうでもいいといえば、いいんですけどね。)
2006/5/24
「人は見た目が9割」 竹内一郎 新潮新書
この本に「所詮、ルックスのいい人にはかなわない」というような「小気味のいい」論証を期待していた人は(私もそうだったんですが) 残念ながら期待はずれに終わるといわざるを得ません。
これは、たとえば「社会人1年生」が、一般的に「常識」と言われている「他人との付き合い方」などの「決め事」を、ざっと頭に入れておくために読めばいい本というべきで、 それ以上のものではありません。
どうしてこんな本が売れてしまったのか、まったく理解できませんが、「新潮新書」の他の本と同様に、「題名が良かった」のだろうと思われます。
どうも「新潮新書」というのは、先に題名を決めてから、適当な人を選んで執筆を依頼しているのではないか?と、私は睨んでいるのですが・・・
2006/5/20
「トラウマの国」 高橋秀実 新潮社
「クーラーをつけてほしい」「学校の水をおいしくしてほしい」「学校周辺の警備を強化してほしい」
これは、PTAの会合で出てきた、学校への要望項目ではない。小学生の児童に聞いた「将来の夢」という問いに対する、これが代表的な意見なのである。
「『ふつうの人』になりたい」「将来は、おじいさんとおばあさんになって、みんなでお茶を飲みたい」
疲れきってしまっている現代の子どもたちへの「突撃ルポ」は、「この国の歪んだかたちを浮き彫りにしていく」
Simple & Clear−ビジネスマンの「英語」
妻の殺意−「夫婦」の事件
愛の技法−「セックス」を読む女
せわしないスローライフ−「田舎暮し」の現実
自分とは何か?−「自分史」を書く
思わず爆笑してしまった後に、「他人事ではない」ことに気づいてぞっとしてしまう自分を発見していた。
2006/5/14
「マンション崩壊」 山岡淳一郎 日経BP社
この時期に、このタイトルだと、誰もが「耐震偽装」を思い浮かべるに違いないわけだけれど(帯にもしっかり書いてあるし)
残念ながらこの本は「耐震偽装」に焦点を絞った本ではない。だからと言って「耐震偽装」に便乗しようとした本でもない。(若干の色気はあったかもしれないけれど)
バブル末期、住宅・都市整備公団が、高名な建築家集団に依頼して、「デザイン至上主義」の風潮に乗って颯爽と売り出した「多摩ニュータウン」の中高層マンション群は、とんでもない「欠陥建築の群れ」だった。
「たちの悪さ」と「根の深さ」においては、「耐震偽装」問題など軽く凌駕しているに違いないこの「事件」を、丹念に執拗に追い詰めていく山岡氏の筆致は、いつもながらに「フィクション」を超えている。
「見てきた様な嘘をつく」ためには、自分でも「確かに見た」と勘違いしてしまうほどの、徹底的な取材が必要であるに違いないのだから。
2006/5/13
「ウンコな議論」 HGフランクファート 筑摩書房
「ウンコな議論」とは何か?
本文にはその例として「扁桃腺を摘出して、きわめて惨めな気分でイブリン療養所に入院して」いたパスカルが、 訪ねてきたウィトゲンシュタインと交わした会話が取り上げられている。
「まるで車にひかれた犬みたいな気分だわ」
「きみは車にひかれた犬の気分なんか知らないだろう」
ここで、ウィトゲンシュタインが露骨に嫌な顔をしたのは、
「車にひかれた犬の気分」など知らないくせに、自分が今感じている「気分の悪さ」を、単に嫌な気分だというにとどまらず、 犬が車にひかれたときに感じる「特定の嫌な気分」という、過剰に具体的な表現を用いて描写したからだ。
と、著者自らが見事に「ウンコな議論」を展開してみせてくれている。
この本はむしろ、訳者・山形浩生の解説が売り物なので、そこからも抜粋する。
世の中にはウンコな議論があふれているのは日々ご存知の通り。はぐらかし、ごまかし、その場しのぎの口から出任せ。 我が国の(現時点の)首相がそうした議論の天才であることは論を待たない。
2006/5/11
「マオ」 Jチャン 講談社
三代にわたる女性の「中国の歴史に翻弄された運命」を描いた『ワイルド・スワン』、その著者ユン・チアンが、今度は自らの人生を弄んだ「文化大革命」 の首謀者「毛沢東」に挑んだ大著である。
毛沢東が、これまで中国共産党によって宣伝されてきたような「人物」ではなかった、ということは、既に明らかになってきているとはいえ、「これほどまで」に 悪辣・非道な確信犯であったなどということは、想像もしていなかった。(もちろん、ここに描かれていることが、すべて真実かどうかは諸説あることなのだけれど)
将来的にライバルとなりそうな人物をわざと死地に赴かせたり
国内は不作で餓死者まで出ているにもかかわらず、武器購入のため、逆に食料を輸出に廻してしまったり
自らの「地位」と「名誉」を死守するためには「手段」を選ばないという、徹底したやり方が、これでもかとばかりに暴露されているのである。
読んでいるだけで腹が立ってくるような、毛沢東の卑劣な仕打ちは、「耐えに耐え、忍びに忍んだ、」周恩来という人が、かえって卑屈に見えてくるほど、 それは、ある意味「爽快」なやり口でもあった。そうでなければ、天安門広場に、いまだに「肖像画」が架けられてある筈がないのだ。
2006/5/2
「どんがらがん」 Aディヴィッドスン 河出書房新社
地元の新聞に黒人の委託販売の広告を出した「黒人問屋」のベイリスは、表向き見下しながら「必要悪」として彼を利用している人々を「逆手」にとって、 あくどい商売を重ねていたが・・・『物は証言できない』
下等な野蛮人ヤフーが暮らす「バーナムの惑星」は、経済価値はゼロだったが、長い宇宙の旅路の途中に位置するため、旅行者にとってのいい「ガス抜き」 となっていた。「ヤフーがどうしても人間に見えてしまう」ハーパーは、そうした蛮行に憤りを感じ、やがてヤフーの言語を学び始めた。・・・『さあ、みんなで眠ろう』
F&O自転車店の共同経営者ファードがいなくなってしまった。大切にしていた赤い自転車が、壊したにもかかわらず、 元通りに戻っているのを発見したためだった。・・・『さもなくば海は牡蠣でいっぱいに』
「つまり、ある日に安全ピンがあったと思ったら、次の日にはそいつがハンガーになってるって言うのか?」
オスカーは言った。
「それじゃどうしておれたちは自転車だらけになって、へそのところまで埋もれてしまわないんだ?もしハンガーがみな自転車になるとしたら・・・」
帯にあるとおり「異色作家」の「奇想コレクション」。とにかく読んでみてください。
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