徒然読書日記200407
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2004/7/25
「本人の人々」 南伸坊 マガジンハウス
「フェイス・オフ」という映画がありまして、悪人役のニコラス・ケイジと、刑事役のジョン・トラボルタが、手術でお互いの顔面をはがして張り替えるという、凄まじい設定の映画でした。 誰が考えたって、トラボルタの頭蓋骨にケイジの顔面ははまらないだろう!およそ2倍に引き伸ばさないと・・・というのが、ストーリィとは離れた部分での感想でしたが・・・ (どうしてそんなことになったのかは映画を見てね。ニコラス・ケイジのいつもながらの快演に引きずられるように、ジョン・トラボルタが名演。映画自体超お奨めの作品となっております。)
ところがどっこい、キアヌ・リーブスですよ。しかもチャレンジするのは南伸坊。誰が考えても横幅3倍はあるだろうと思うのですが、これが意外にいけている! (嘘だと思ったら、本を買って見て下さい。少し斜めにしてみるのがコツです。)
というわけで、顔面模写なのですが、その「なりきり度」は顔面にとどまらず、文体にまで及んでいるところが、この人の凄さです。森喜朗なんか本人以上だと私は思います。
2004/7/19
「世にも奇妙な職業案内」 NRシフ ブルース・インターアクションズ
男の腋の下に大きな聴診器の先のようなものを当てて臭いをかぐ女性がいる。(最近、資生堂のCMにも出ている)犬の上唇をめくり上げ、臭いをかぐ女性もいる。 前者は、腋臭止めの効果を測るための「におい鑑定人」であり、後者は歯のための食事療法の効果を調べる「犬嗅ぎ人」。それがどのような臭いであるのかは、想像の域を超えているが、 写真を見る限りにおいて、当の本人たちにとって特別の感興を催すものではないように思われる。
「赤ちゃん調教師」「遺体美容師」「女装学校校長」「恐竜掃除人」「タンポン検査士」「シャンパン・ボトル回し」・・・ 「そんな商売本当にあるの?」というものから「確かにそんな人も必要だよな」というものまで「人生いろいろ」ではあるけれど、一つ確実なのは、どの職業についている人の顔も 「これぞ天職」といわんばかりに誇らしげに輝いているのである。
2004/7/17
「あなたの人生の物語」 Tチャン ハヤカワ文庫
光の屈折というのを覚えているだろうか?空気中から水中へはいる光の経路は、水面で下に折れ曲がる。お風呂の底が浅く見えるというあれである。 なぜ光は屈折するのか。それは空気中と水中では光の速度が違うからである。水中では光は遅く進む。では改めて、それでなぜ光は屈折するのか。 「光は常に最短の経路を進もうとする。」からである。空中のA点から水中のB点まで、直線で進むよりも、速度の速い空中を余計に通過した方が(例え距離的には長くなっても)早い。 しかし水中の経路を最短にするために水面に直角に進む経路を選んだのでは迂回が大きすぎて遅くなってしまう。中を取って丁度いい水面上のC点を選択し、そこで屈折するのである。 では、それは誰が決めるのか?光が自分で決めるのだとしたら、いつ決めるのか?何度か試して決めるというわけにはいかないとすれば、光にはあらかじめ最短経路がわかっていることになる。
これが表題作「あなたの人生の物語」のヒントとなった物理学の変分原理だと聞かされたあなたは、取るものもとりあえず近くの本屋へ走るでしょう。そして気付くの。 「読みたい本っていうのは、探すとなかなか見つからないものだ。」ということに。で、ようやくアマゾンで手に入れた本を、まずは最初の1篇から読み出したあなたは後悔することになるわけ。 だって「バビロンの塔」「理解」「ゼロで割る」と続く導入の3篇が、打ち出すと止まらない巨人打線のようにあなたに襲い掛かり、肝心の4番打者が出て来る前に、 誰かと語らずにはいられなくなるわけだもの。もう明け方近くだというのにね。
思わず「あなたの人生の物語」風の語り口となってしまうほどに、はまり込んでしまった、この短編集に収められた珠玉の8篇。 そのすべてが、長編でも描くことの難しい完璧な独自の世界を構築しているその8篇が、この天才作家の今のところのすべての作品であることを、 わたしは驚愕の思いで受け止めている。駄作が一つもないことと、次に読むべきものがないことに。
2004/7/15
「事業再生と敗者復活」 八木宏之 講談社現代新書
「中小企業の再生なしに日本の再生はありえない。」と叫ぶ著者の「敗者復活アリ」の社会を創るための三つの提言。
1.再保証制度の充実
保証協会の保証付き融資の保証料は借り手が払うにもかかわらず、保証されるのは貸し手の側という矛盾。
土地を担保に金を貸しておきながら、地価が下落したからといって追加担保を請求したり、担保を差し出しても残債を請求するという「貸し手責任」の不在。
2.連帯保証制度の廃止
「経済的人質」とも言うべき前近代的制度に寄りかかる、日本の金融機関の審査能力の欠如。
この制度があるかぎり闇金融の悲劇が終わることはない。
3.マイホームファンドの創設
自宅を維持している限り、経営者の再生に向かう気持ちは萎えない。
2004/7/13
「金融工学、こんなに面白い」 野口悠紀雄 文春新書
卵をかごに入れて30個運ぶことにする。かごを落とすと卵は割れてしまう。その確率を3分の1とすると、30個を一つのかごに入れて運ぶことにすれば、割れることになりそうな卵の数(期待値)は10個である。 さて、ここでかごを3つ用意して、それぞれに10個ずつの卵を入れる。詳しい計算過程は省くが、この場合でも割れる卵の期待値が10個であることに変わりはない。 しかし、かご一つの場合には、全部割れるか、まったく割れないかの二者択一であるのに対し、かご3つの場合には、全部が割れるという場合はまれである。逆に言えば、まったく割れないという場合も少なくなる。 つまりハイリスク・ハイリターンを「分散投資」により、ローリスク・ローリターンに変えたということになる。
では、卵1個しかない人はどうするのか?卵の価値が30円であったとして、10円払うことによって、割れた場合には30円受け取れる権利を購入すれば、状況は同じことになる。独立に発生する事故を多数集めることで、 リスクを分散することができる。これが「保険」である。リスクを負っても、負わなくても、期待値が同じであるのなら、ほとんどの人はリスクを負わない方を選ぶだろうし、誰もリスクを負いたがらないであろう。 従って、実際にはリスクを負うものに対して「リスク・プレミアム」が与えられる。10円より少し高くても、大概の人は保険を掛けるのである。
といった初歩的なところからスタートして「先物取引」から「デリバティブ」まで、極めて高度な内容の数学に裏付けられた経済理論を、わかりやすく学ぶことができる「超入門書」。 ただし、この程度のことは市場はすべて折込済みで動いているわけで「金融工学で金持ちにはなれない」というのが、哀しい結論なのでありました。
2004/7/11
「日本のスイッチ」 佐藤雅彦研究室 毎日新聞社
より好戦的な指導者は? ブッシュ 73%
フセイン 25%
松井のニュースを見終わって、ヤンキースの勝敗 おぼえている 21%
おぼえてない 78%
1週間に1回、携帯電話に送られてくる、すべて二者択一の8つの設問に答えると、集計結果が戻ってくる。参加者は3万人。 「日本経済の復活を信じるか?」(信じている 67%)という切実な問いから、「好きなおかずは?」(最後に食べる 59%)という究極の問いまで、日本人として、自分は果たして多数派なのか、 それとも少数派なのかを一瞬にして明らかにしてくれるというのが「日本のスイッチ」たる由縁。その着眼はさすがに佐藤雅彦というべきものである。
ところで、2002年10月から2003年12月まで、えんえんと続けられる質疑応答を読みながら感じていた「既視感覚」。そう、これって小泉首相のインタビューの雰囲気なのね。 聞かれた問いに対して、な〜んにも考えずスイッチポン。それが日本の将来を左右するという感じですね。
最新兵器を解説する軍事評論家の人たちの印象は? 心配そう 15%
生き生き 85%
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