徒然読書日記200401
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2004/1/29
「得する生活」 橘玲 幻冬舎
「覚醒剤がらみの犯罪を劇的に減らす方法は?」「覚醒剤を合法化すること」
覚醒剤を合法化すれば、中毒者は増えるかもしれないが、犯罪は減るだろう。覚醒剤が犯罪と結びつくのは、中毒性があるからではなく、値段が高くて入手困難であるからだ。 酒やタバコと同様に、覚醒剤に課税すれば、非合法組織に渡っている膨大な利益が国庫に納まることになる。
世の中の常識と思われている事象を「経済合理的」に見直してみると、「おいしい話」がゴロゴロころがっているというお話。
「クレジットカード」「マイレージ」「消費者金融」「会員権」など、知っておいて損はない話題満載です。
2004/1/25
「歪んだ正義」 宮本雅史 情報センター出版局
話題の映画「半落ち」を見た。既にここでご紹介したとおり、ストーリィーは知っていたので、まだ読んでいない妻には、タオルを用意するようにとだけ言っておいた。 小説とは泣かせどころが違っており(病状が進捗していく妻という背景描写がふくらませてあり、樹木希林の熱演が光った)看守とのエピソードが端折ってあるので、映画の後で補足説明したら、 妻は、映画では「なぜ被告が自殺しようとするのかがわからない」と言っていた。(でも二人ともしっかり泣いた。)
原作者、横山秀夫(映画にも出ていた)が「検察は、この本が売れないことを祈っているだろう。」と帯に謳ったこの本は(映画にも描かれた)「検察=正義」という体面を 重視するあまり「自作のストーリィを捏造」し「脅迫まがいの裏取引」という「暴走」を繰り返す「特捜検察の真相」を解き明かそうという本なのである。
「東京佐川急便事件」を巡る様々な「噂」の真相の解明を主テーマに、そこに露呈してくる特捜検察の「失態」の遠因は、「ロッキード事件」と「造船疑獄事件」にあり、 「田中は無実だった?」にも拘らず、身勝手な構図を描いて強引に推し進めても許されるといった「特捜検察=オールマイティ」という驕りと、 ずさんな捜査で立件が頓挫しそうだという失態を「政治の圧力」という虚構の隠れ蓑に切り替えるという「特捜検察=被害者」という甘えに呪縛されているのだ、というのが著者の主張である。
2004/1/20
「葉桜の季節に君を想うということ」 歌野晶午 文芸春秋
作者が巧妙に張り巡らした「伏線」を楽しむために、二度読まなければならない作品というものがある。(始めから伏線とわかってしまったら、伏線にならないし、これは伏線かもという読み方では、本筋が楽しめない。) 典型は、筒井康隆「ロートレック荘殺人事件」、映画で言えば「シックスセンス」もそうだった。で、2004年度「このミス」第一位に輝くこの作品も、まさしくそういう作品なのだけれど・・・。
この「美しい題名」に誘われて読んでしまった私としては、読み始めてすぐに感じた「何じゃ、これは?」という違和感から、いつしか「題名」のことなど忘れて読みふけるうち、最後の「どんでん返し」にいたって気付くのである。 なるほど「葉桜の季節に君を想う」わけね。と・・・
題名が最大の伏線なのだと言ってしまったら、まだ読んでいない人は怒るかな?
2004/1/16
「三軸修正法」 池上六朗 BABジャパン
三軸修正法では、カラダというモノを新しい視点で観察するために、力学の用語を使って思考実験をしてみました。(池上)
この本は、いってみれば「整骨院」の名医が「カラダの歪みを治す」方法と、その考え方を伝授した本である。普通、整骨師はこんな本は書かない。 だって「本当」なら皆がまねをするだろうし、「インチキ」なら誰も来なくなるだろうから。
「三軸修正法」とは、自転する地球上の一点でカラダを回転させるという運動は、「地軸」「鉛直軸」「南北軸」という3つの軸に対する回転運動に分解でき、 そこに作用する重力、遠心力、コリオリの力を体感することにより、歪みを自力修正することができるという理論であるらしい。 で、何でこんな本を読んだかというと、著者が内田樹の「寝ながら・・・構造主義」に触発されたということに、「何故」と興味を引かれたわけで、 なるほどと「膝を打つ」ためには、著者の「あとがき」を読んでから、内田樹の「前書き」を読み返すことになるのであった。
池上先生の三軸修正法は、身体的な「歪み」として兆候化するものの基底にある「記号的な水準でのアラインメントの狂い」にも照準しているように私には思われる。(内田樹)
2004/1/12
「救急精神病棟」 野村進 講談社
日本における入院患者の総数140万人に占める精神病患者の数は34万人。つまり、日本の入院患者のほぼ4人に1人が精神病患者であり、その平均在院日数は、 アメリカ8日、オーストラリア13日、イタリア15日・・・に対し、日本では376日であるという驚くべき事実を、あなたはご存知でしたか?
精神病院というものは、治癒の見込みもないまま薬漬けとなり、一旦入院したら(監禁されたら)檻に閉じ込められてなかなか退院できず(逃げ出せず)、「電気ショック」や「ロボトミー」など、何をされても文句も言えない。 家族も薄々それを黙認している(望んでいる)というイメージを、私たちは(といって悪ければ、少なくとも私は)持っていたということを、否定できない。
「統合失調症(分裂病)」や「うつ病」が、適切な治療によって劇的に回復可能であること(少なくとも入院患者が通院で症状を統御できること)が、脳科学や分子生物学のアプローチにより解明されつつあるにも拘らず、 「抱え込んだ方が儲かる」という「病院関係者」の反対により、医療改革がなかなか進捗しない精神病「業界」。この本は、そうした閉塞状況の中で、救急医療として早期退院を目指す、精神医療の最前線の現場における「闘いのドラマ」であるが、 次々と運び込まれる「救急精神病患者」のプロフィールを見るに付け、これは決して他人事ではないということを、思い知らされるのである。
2004/1/10
「後巷説百物語」 京極夏彦 角川書店
文句なく面白いのだから黙って読めばいいのだろうが、一言だけ。
山岡百介の想い出語りというスタイルで生き返った又市、というのは何となく予想された展開ではあったが、 陰摩羅鬼の由良伯爵つながりで、ただでさえ登場人物の人間関係が閉じている京極堂の世界にまで参入してこようとは思わなかった。 (覘き小平次にまで参入してきたので、別に驚くほどのことでもないかもしれないが・・・) それにしても百介亡き後、さすがの又市も命脈を断たれてしまうのだろうか?いや、与次郎が後を引き継ぐのであろうが、少し影が薄すぎやしないか? などと、本筋とはまったく関係のないところで興味津々である。
2004/1/9
「戦略的思考の技術」 梶井厚志 中公新書
販売した商品の「返品を認める」という宣言は、消費者に対し「入手した商品がもし贋物だったらいつでも返品できる。」という安心感を与えているのではなく、 「返品を認める」というコストをかけている以上「商品は本物であるに違いない」という信頼感を与えているのである。なぜなら、もし商品が贋物であるのなら「返品を認める」という戦略は、命取りになるからである。 とすれば、「返品を認める」戦略で一番大切なことは「無条件に」ということになる。条件をつければ、贋物業者でも約束可能となるからである。
戦略的思考の要点を一言で言えば、自分だけでなく、相手(ライバル、顧客)も戦略的思考で対処してくるということを前提しなければならないと言うことであろう。相手が「な〜んにも考えていなければ」そもそも戦略など無意味なのである。
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