- 2002/3/24 「マネーよりゼニや」 日下公人、青木雄二 ダイヤモンド社
- この欄で何度も取り上げておりますが、青木雄二という人は、日下公人を聞き手に廻らせてしまったということからしても、そこいらの似非エコノミストなんぞよりはよほど実践的で、しかも含蓄にとんだ、
聞くに値する「論」を吐くことができるということを、改めて確認させてもらった本でした。これも何度も言いますが、「ナニワ金融道」(全19巻)経営者必読の書です。
- 2002/3/19 「猛スピードで母は」 長嶋有 文藝春秋
- 本年度芥川賞受賞作。先月紹介した「夏の滴」と似たような感性ではありますが、毒にも薬にもならないようなストーリィを淡々と語るので、それこそ「猛スピードで」読めてしまう、
というのが、最近の「純文学」の流行なのでしょうか?私はやはり、どうせ読むなら、毒にも薬にもなる日本ホラー大賞の方が好みです。
- 2002/3/17 「新しい生物学の教科書」 池田清彦 新潮社
- 私たちが高校時代に習った物理や生物は、その時点で既に充分「旧い」代物で、物理はニュートンの古典物理学、生物はメンデルの法則!が中心。
相対性理論や量子力学、二重螺旋のDNAなど、もう既に確立していたはずの理論は「トピックス」としては耳にしていても、学として身に付けることはさせてもらえなかったわけです。
もし今私が高校生で、「利己的な遺伝子」等の議論を踏まえながら、「死は進化の過程で獲得された」などという哲学的で刺激的なフレーズを「生物学」の教科書に発見していたなら、
私は間違いなく生物学を志していただろうなぁと、今の高校生に嫉妬を感じてしまいました。
- 2002/3/13 「素粒子」 Mウェルベック 筑摩書房
- フランスでブレークし、全世界でベストセラーとなっている話題沸騰の「新文学?」。過激な性描写と専門的な物理理論の解説が交錯しながら、ある人生の伝記めいたエピソードが淡々と展開されていく。
普通の小説としても充分に読ませてくれるが、いつのまにか到達させられた高みから足元をのぞけば、背筋に寒気を覚えるだろう。これは誰が物語った「モノガタリ」なのだろうか?
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