- 2002/2/28 「世界がもし100人の村だったら」 池田香代子再話 マガジンハウス
- 2002/2/28 「日本村100人の仲間たち」 吉田浩 日本文芸社
- 「世界が・・・」は、もともとは1通のインターネットメールに端を発し、チェーンメールとして世界を駆け巡るうちに現在の形になったということで、世界各地に様々なバージョンがあることになる。
はじめは1000人だったのが、100人になったことで、定量的なデーター性が犠牲になったかわりに、より直感的に把握できる訴求力を強めたとか、様々なバージョンの変遷をたどることで、削られたもの、付け加えられたものに込められた政治的な背景が面白い。
これに対して「日本村・・・」の方は、書店で目にする方が恥ずかしくなるほどの厚かましさであるが、近頃こういう売り方の本がやたら多くて、それがまた売れたりするのもどうかと思う。
内容は想像以上に最悪で、せめて二番煎じなら二番煎じなりの、前作を内容で超える位の「意地」を見せて欲しかったと思うのだが。
- 2002/2/27 「エレガントな宇宙」 Bグリーン 草思社
- 光は粒子だ、いや波だ、いいやその両方だ。というわけで、相対性理論と量子力学の偉大なる統一を目指す物理学の世界はとうとうここまでやってきたというお話。
原子、電子の時代から、様々な新しい素粒子がその存在を予想され発見され、やれクォークだの、色だの香りだの、質量や力荷の違いで分類されてきたそのすべてが、実は一つの「ひも」の振動パターンの違いにすぎない。
つまりこの「超ひも理論」によれば、「もとは一つだ。」ということらしい。後半部分の、世界は実は4次元ではなく10次元らしい。という部分の説明は柔な頭では想像すらできないためかなり難解であるが、
前半の相対性理論と量子力学の解説は、例えがとてもわかりやすくて本当に面白い。難しいことをわかりやすく説明できることがこの人の天才の証である。
- 2002/2/23 「インド待ち」 周防正行 集英社
- インドでは、町を歩いているといつの間にかワラワラとインド人に取り囲まれ、物事が予定通りには進行していかない。というのは、インドに行ったことがなくても何となくうなずける話で、
この「インド待ち」というのも題名に負けて買ってしまったわけだけれど・・・。内容は、周防さんのインド旅行の日記に終始して、それも食事のシーンが異常に多く(それはそれで別の興味を充たすけれど)、期待はずれ。
前作「Shall We Dance アメリカを行く」が結構よかっただけに残念でした。やはりこの人には映画で頑張ってもらいましょう。
- 2002/2/11 「ジョッキー」 松樹剛史 集英社
- 競馬ものと言ってすぐに思い浮かぶのは、ディック・フランシスの「興奮」等、漢字二文字シリーズですが(ちなみに未読の方はぜひどうぞ)
馬の汗が飛び散ってくるほど競馬どっぷりの、騎手の心理や駆け引きがストーリーの主軸になっているという意味で、これは異色の競馬小説です。
特にミステリーやサスペンスがあるわけでもなく、それほど色恋沙汰もなく、どちらかといえば淡々と進む話が、読み出すとやめられない魅力を発散する。
しかも短編風に一話一話結末を迎えながら、全体としては一つの起承転結にまとまっている。今時珍しいさわやかな後味の読み物としてお勧めです。
- 2002/2/2 「オトコとオンナの深い穴」 大田垣晴子 メディアファクトリー
- 性風俗産業への女性の目から見た突撃実態レポ漫画。四十八手の体位を描いた表紙が一瞬過激ですが、内容はそれほどでも?
女性のみならず、体験もせずに知ったかぶっている私のようなタイプの男性も、一読の価値あり。
- 2002/2/1 「夏の滴」 桐生祐狩 角川書店
- 子供の集団が発揮する無邪気な残酷さが、時に「切ない」のは、外に向かって振り回したはずの刃がいつの間にか自分を傷つけてしまうからだ。
だから、大人の能天気な残虐さは軽々とそれを凌駕する。鮮烈な印象を残す(但しいささかグロに近い)青春ホラー小説です。
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