- 2001/7/28 「ぼくが読んだ面白い本・ダメな本そして・・・」 立花隆 文藝春秋
- 「・・・そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術」と、(今時のくだらないTV番組が新聞のTV欄での露出度を高めるだけのために工夫しながら、
他番組も右へならへとなってかえって埋没し、いまやNHKの一人勝ちとなってしまったような)長〜い題名のこの本は、
筆者のいまさら聞くまでもない読書術の書き下ろしと、「捨てる技術!」へのこき下ろしを除けば、週間文春に連載されている書評欄をまとめたものである。
で、この書評がたまらなく面白い。多方面に渡り、そんな本読んでどうするの?ならまだしも、そんな本書いてどうするのと思うような本まで視野に入ってしまうこの人は、
面白い本を読むのではなく、本を面白く読む天才なのであり、その証拠に、ここで取り上げられた本のいくつかを読んでも、本そのものよりも書評の方が面白い。
折角の大量速読術ではあるが、身に付けようなどとは思わず、ここは替わりに読んでもらうのが絶対に正解?
- 2001/7/21 「建設動乱」 山崎裕司 ダイヤモンド社
- 2001/7/17 「2003年,日本国破産[対策編]」 浅井隆 第二海援隊
- 2001/7/12 「2003年,日本国破産[警告編]」 浅井隆 第二海援隊
- 今、日本で何かが起ころうとしていることは間違いがない。
みな薄々そう気付いているはずであるが、気付かないふりをしていれば、そのうち通り過ぎていってしまうのではないかという淡い期待。
そして、その期待すらもが、裏切られてしまうことは、あらかじめわかっているにもかかわらず、という重い現実。
いま破綻しようとしているのは、一企業や、一つの業界や、地方自治体ではなく、日本という国家そのものなのであり、
確固たる意志をもって舵を切ろうとするリーダーをついに持たなかったことがこの国の不幸である。
- 2001/7/19 「新しい歴史教科書」 扶桑社
- 歴史の教科書というものは通読するものではなく、一年かけて少しずつ読み進めていくもので、それも必ず時代順に読んでいくものだから、
縄文・弥生時代は嫌というほど頭に入っているけれど、明治以降の歴史となるとおぼろげで、どうかすると時間切れで習ってすらいない。
そんな程度の位置付けの「教科書」がそれほど問題になるのなら読んでみようかという気になるわけで、
これは扶桑社の販売戦略の一環ではないのか?などと不謹慎なことを言うと、朝日新聞あたりがリークするのでしょうか。
「書いてある」内容はなかなか面白く(むしろ「書いてないこと」が問題なのでしょうが)、教科書としては優れものだと思いました。
- 2001/7/11 「北朝鮮を知りすぎた医者」 Nフォラツェン 草思社
- 相当に期待して読んだので(途中に出てくる怪しげな詩のようなものに、ひょっとしたら暗号でも織り込んであるのかと思ったくらいに)
落差は激しかったと言わざるを得ませんが、この国の状況を「医療」の面から捉えたという意味ではまあそれなりに評価しましょう。
それにしても「知りすぎた」は「言い過ぎた」のではないかと思います。この程度ならまだテリー伊藤の「お笑い北朝鮮」のほうが中味が濃いです。
- 2001/7/8 「怪しい日本語研究室」 Iアーシー 毎日新聞社
- 異色の翻訳家(ビジネス和文英訳)の目に映った「日本語」の不思議発見!
抱腹絶倒の一冊を保証。官僚語訳「枕草子」絶品。定型「社長の挨拶文」微苦笑。
「母語」と「母国語」の違い。「外人」の定義。納得。
ヒエログリフの解読の方法。ポロリ(目から鱗が落ちる音)。ハイ、お後がよろしいようで。
- 2001/7/2 「ぼくらはみんな生きている」 坪倉優介 幻冬舎
- 大学入学を目前にして交通事故ですべての記憶を喪失。
家族の名前はもちろん、「もの」の名前、概念と「ことば」との結びつきを学ぶことから再開する。
幼児期に自然に獲得されていくそうした「能力」がいわば不自然に獲得されていく過程を読むと、
逆に新鮮でみずみずしい感性に溢れていて、私たちが喪ってしまったものの大切さに気付く。
今最も恐れていること、「記憶が戻ること」。再獲得した「自分」が消えてしまうかもしれないから。
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