- 2001/5/12 「コンクリート建築、結露はあたりまえ?」
- 「マンションの常識」のウソ
コンクリートマンションと結露。きってもきれないその関係に泣き寝入りする居住者の姿をテレビの報道などで目にしたことはありませんか?
「コンクリートが完全に乾燥するには1年以上かかります。」
「灯油には水分が含まれているのでストーブは使わないで。」
「こまめに換気をしていただかないと。」等々、
まるで住まい方が悪いかのように決め付けるマンション業者。
実は彼らは必ずしもウソをついて誤魔化そうとしているわけではないところに大きな悲劇が隠されています。
彼らは建築工学の専門家ではありえても(そうですらないこともありますが)建物の熱や水蒸気に関わる性能を扱う「建築物理学」に関しては全くの素人であるからです。
- 日本の「常識」=世界の「非常識」
もともとは「無断熱」で建てられていた建築物に断熱という考え方が取り入れられるようになったのは、省エネルギーが世界的課題となったオイルショックの時。そうわずか30年前にすぎません。
そして日本では、外壁材に対する耐火性等の法規制の問題もあり、「内断熱」が採用されることになったわけですが、
欧米諸国では省エネルギー実現に向けて建築物理学を中心に研究が進められ「外断熱」以外ありえないという結論に至っています。
外断熱では結露が発生しないだけでなく、コンクリート建築物の耐久性能向上にもつながることから、地球環境の観点からも常識となっているのです。
日本の「常識=内断熱」→結露発生・健康被害→世界の「非常識」
世界の「常識=外断熱」→省エネルギー・地球温暖化防止・廃棄物削減
- 2001/3/3 「外断熱を知っていますか?」
- 外断熱とはコンクリート造の建物の断熱工法の一つです
「外断熱」という言葉が最近注目されていますが、何となく良さそうなイメージが先行して、必ずしも正しく理解されていないようです。
「外断熱」とは、コンクリートという材料が熱を蓄えるという性能を効果的に利用しようという考え方に基づく断熱用語です。
コンクリート造の断熱には大きく分けて、断熱材をコンクリート壁の内側に入れる「内断熱」と外側をすっぽりおおってしまう「外断熱」があります。
コンクリートには蓄熱性能があるため、断熱がその内側か外側かで、大きな差が発生するのです。
(木材には蓄熱性がなく、逆に木材自体がある程度の断熱性能を持っているので、断熱の内外で大きな違いは生まれません。
従って、最近の木造住宅で「外断熱」を謳っているものがありますが、あれは断熱材を外側に張っているという意味で「外張り断熱工法」というのが正しく、「外断熱」とは考え方が異なることになります。)
- 外断熱のメリットは?
- 「耐久性」
コンクリートが外気に晒されないので、直射日光や酸性雨それに激しい温度差を経験せず構造体が長持ちします。
- 「室温の安定」
コンクリートの蓄熱性により外気温の影響を受けにくく、室温が安定して冷暖房のコストが削減できます。
- 「結露防止」
内断熱ではコンクリートが外気温に近く、室温との温度差により表面に結露が発生します。コンクリートの温度が室温に近い外断熱には結露がありません。
- うまいことばかりの「外断熱」ですが、もちろんデメリットもあります。 メリットを最大限に活かしながら、デメリットを解消して快適な住環境を実現していきたい。
このコーナーでは、そんな話題を提供していきたいと思います。
(木造の「外張り断熱」についても別の機会に取り上げたいと思います)
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