暇人肥満児の“この本を読め!”
暇人肥満児お勧めのコーナーです

1999年度極私的BEST10 2000年2月3日発表
「永遠の仔」
天童荒太
幻冬社
おそらく、これまで読んだ、そしてこれから読むであろう本すべてを含めても、BEST3にはいるだろう衝撃の内容。トラウマを抱えることの切なさと優しさが心に痛い。
「わが母なる暗黒」
Jエルロイ
文藝春秋
これもトラウマ物の実話。少年期に実母を殺害され、後に暗黒小説の名手となった作者が、遅ればせの犯人探しを開始。迷宮入りした事件の鍵をこじあけようとすることで、自らの心の襞をえぐる。
「鳥玄坊先生と根源の謎」
明石散人
講談社
知る人ぞ知る(知らない人はまったく知らない)稀代の薀蓄作家が、縦横無尽に空想宇宙を駆け巡る。神代は実在した?どこまでが事実?「三部作」の1作目。京極夏彦のお師匠さん。
「宙返り」
大江健三郎
講談社
「オウム」や「定説」など、新宗教を文学的に解釈するとこういうことになる。
「柔らかな頬」
桐野夏生
講談社
直木賞受賞作。失踪した娘の安否を確認するという本来の目的を見失って、行動のみが残されていく。「藪の中」的な結末のまとめ方が余韻を残してとってもお洒落。
「ぼっけぇきょうてぇ」
岩井志麻子
角川書店
一人称トリックものとしては、筒井康隆「ロートレック荘殺人事件」以来の秀作。ただしホラーなので「ぼっけぇきょうてぇ」(とっても怖い)
「屍鬼」
小野不由美
新潮社
本来怖いはずの方が可愛らしく思えてきて、もう一方のほうがよほど怖くなってくる。これ以上は種明かしになってしまうので、買って読んでください。
「絡新婦の理」
京極夏彦
講談社
終わりまで読んで、最初に戻ると納得できるという、一粒で二度おいしく「京極ワールド」を堪能できる逸品。様々な事件や人物が複雑に絡まりあって中心に吸い寄せられてくるという「蜘蛛の巣」の世界を本の中に構築してある。京極作品はどれを読んでも面白いが、「魍魎の匣」とこの作品が双璧と思います。
「学問の格闘」
養老孟司
日経新聞社
最先端の科学者は今、何を考えているのか。聞いてもすべて理解できるわけではないけれど、そういうことに興味を持つ自分を大切にしたいと思う。
「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」
村上春樹
平凡社
時間とお金があったなら、こんな旅もしてみたいとは思うけれど、時間とお金があっても、感性がなければ、こんな旅はできはしない。
「天才数学者たちが挑んだ最大の難問」
早川書房
フェルマーの最終定理がついに解けた。だから何だと言われても困るけれど、長い歴史の中で様々な数学者の貢献や確執の物語があって、意外と面白く読めると思いますよ。



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